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生殖補助医療の法律と出自を知る権利

4月ごろから、生殖補助医療に関する法律を作ろうという動きが活発化していますね。

一般の生殖医療(いわゆる不妊治療)はもちろん、第三者からの精子・卵子・配偶子提供を受けての生殖医療に関しての法律は、日本には存在していません。それを、今回、作ろう、ということになったわけですが...。

 

これまでにも、法律を作ろうという動きはありましたが、なかなか進みませんでした。しかし、今回はかなり本格的に動いている模様で、自助グループや精子提供によって生まれた方々の団体も意見書を提出しています。

 

自助グループの方々も、それぞれの立場でいろんな考えを持っていますが、『出自を知る権利』に関しては、法律の文言に組み入れてほしいと願っています。

 

『出自を知る権利』とは、国連の児童憲章にも定められた内容で、児童の権利に関する条約の中の、次のような文章と関連があります。

 

 第7条 名前・国籍を持つ権利 

 すべての子どもは、名前や国籍を持ち、親を知り、親に育ててもらう権利があります。

 

この、”親を知り”という部分は、養子縁組制度などによって、生物学的な親以外と生活している子どもたちが、自身のルーツを知ることと関連しており、養子縁組を行って子どもを育てている親がその子どもに出自について伝えることは「テリング」と呼ばれて、出自を伝えることが推奨されています。

 

ここに、第三者からの精子・卵子・配偶子の提供を受けて生まれた子どもたちの『出自を知る権利』がかかわってきます。

 

親子になった経緯は養子縁組などとは異なっても、子どもの側からすれば、親と自分の間に生物学的に異なる背景がある、ということに変わりはありません。自分が生まれてくる背景に何があったのか、自分の出生にかかわった提供者たちは何を思い、どんな考えの持ち主で、どんな人だったのか。

 

自分を育ててくれている親との関係を大事に考えれば考えるほど、自分という存在が ”今、ここにある” 意味や理由、また、自分が自分であること、自分の特徴や個性のどのぐらいが親との生活の中で育まれ、どんなところが提供者からのギフト(遺伝)と考えられるのか、知りたいと思う...。

 

身近なところで赤ちゃんが生まれたときに、「どっちに似てる?」「目は?」「鼻は?」など、親子や親せきの中での特徴を探した経験のある方も多いと思います。

また、テレビ局の番組でも、芸能人のルーツをたどる番組が制作されたり、家系図の作成もちょっとしたブームになっていると聞いたことがあります。

 

自分の来し方を知りたいと思うのは、みなの中にあるのかもしれません。

 

そして、第三者からの精子や卵子の提供によって生まれた子どもたちも、同じように自分はどこから来て、どんなことから人生を歩みだすことになったのか、知りたいと思うのではないでしょうか。

 

私個人の意見ですが、こうした思いを大事にすることは、親がどんな思いで子どもをほしいと思ったか、それを子どもの側も理解し、より深い親子関係を作っていく助けになることなのではないでしょうか。